ビジホ侍の指南書

【解説】36協定とは?残業や休日労働のルール・罰則・手続きをわかりやすく解説

※この記事は2024年8月22日に作成し、2025年1月14日に加筆修正しました。

企業に勤める者ならば、一度は耳にしたことがあろう 「36協定(さぶろく協定)」
これは、労働基準法に基づき、法定労働時間を超えて労働者を働かせるために必要な協定 である。

もし36協定を締結せずに時間外労働を命じた場合、企業は労働基準法違反となり、罰則が科されることもある。
また、時間外労働の上限 や 健康管理の義務 についても厳格なルールが定められておる。

本記事では、36協定の基本的な内容、必要な届出や手続き、違反時の罰則、改正された労働時間の上限 について詳しく解説する。
労務管理や人事担当者はもちろん、自身の労働環境を守るために知識を深めたい労働者 も、ぜひ参考にしてほしい。

36協定とは?基本的な内容と目的

36協定(さぶろく協定) とは、企業が法定労働時間を超えて 残業休日労働 を労働者に命じる際に必要な労使協定である。
この協定を締結し、労働基準監督署に届出を行うことで、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働 が可能となる。

なぜ36協定が必要なのか?

労働基準法 では、労働時間は 「1日8時間・週40時間」 と定められておる。
しかし、業務の都合上、それを超えて労働せねばならぬ場面もある。
その際、36協定が締結されていなければ、たとえ1分の残業でも違法となる のじゃ。

36協定がない場合のリスク
  • 企業が労働基準法違反となり、罰則の対象となる
  • 労働者が違法な長時間労働を強いられる可能性がある
  • 労働基準監督署の指導が入ることで、企業の信用が損なわれる
  • このように、36協定は企業が適正な労務管理を行うために不可欠なルール である。

    36協定の適用範囲|すべての企業に義務があるのか?

    36協定は、労働者を雇用しているすべての企業が対象 となる。
    正社員だけでなく、パート・アルバイト・契約社員など、雇用形態に関わらず適用される ので注意が必要じゃ。

    ただし、管理職(労働基準法41条における「管理監督者」)や一部の特殊職種は適用外となる場合もある。
    企業の人事・労務担当者は、自社における対象者を正しく把握することが求められる。

    36協定の締結方法と必要な手続き

    36協定を有効にするためには、正しい手順で締結し、労働基準監督署へ届け出る必要がある。
    ここでは、具体的な手続きの流れを解説しよう。

    1. 労使で協議し、協定内容を決定

    企業側と労働者側(労働組合または労働者の代表)が話し合い、時間外労働・休日労働の上限や条件を決定 する。
    この際、労働基準法で定められた上限を超えることはできぬ ため、法令を遵守した協定内容とせねばならぬ。

    36協定に定めるべき主な事項
  • 時間外労働の上限(通常は月45時間・年360時間)
  • 休日労働の取り扱い
  • 適用期間(1年以内が原則)
  • 協定の対象となる労働者の範囲
  • 特別条項付き協定を適用する場合の条件
  • 2. 36協定届を作成し、労働基準監督署に届出

    協定が締結されたら、「36協定届」 を作成し、労働基準監督署へ提出する。
    届出は 「電子申請」または「書面での提出」 のいずれかの方法で行える。

    36協定届の主な記載事項
  • 会社名・所在地
  • 労働者の代表者名(労働組合または労働者代表)
  • 時間外・休日労働の上限時間
  • 特別条項がある場合の適用条件
  • 注意!

    36協定届は労働者の代表者の署名が必要 となる。
    企業側が一方的に決めることは許されぬため、適正な手続きで労働者の意見を反映させることが重要 じゃ。

    3. 届出後の管理と更新

    36協定は 1年ごとに更新が必要 となるため、有効期限が切れる前に新たな協定を締結し、届出を行わねばならぬ。
    また、協定内容に変更が生じた場合は、変更届を提出する義務がある。

    36協定違反の罰則とは?企業が注意すべきポイント

    もし企業が36協定を締結せずに時間外労働をさせたり、協定の上限を超えて労働を命じたりすれば、
    労働基準法違反 となり、厳しい罰則が科される可能性がある。

    違反時の罰則とリスク

    36協定違反の主な罰則
  • 6カ月以下の懲役 または 30万円以下の罰金(労働基準法第119条)
  • 労働基準監督署からの是正勧告
  • 企業名が公表され、社会的信用を失う
  • 特に、時間外労働の上限(月45時間・年360時間)を超えた違反 は、厳しく取り締まられておる。

    また、長時間労働が原因で従業員の健康被害が発生した場合、企業の責任が問われる こともある。
    最悪の場合、過労死や労災認定に発展し、高額な損害賠償請求を受けるリスク もあるゆえ、十分に注意せねばならぬ。

    企業が守るべき労務管理のポイント

    企業は、36協定を適切に管理し、労働者の健康を守る義務 を負っておる。
    そのため、以下のポイントを徹底すべし。
    ✅ 労働時間を正確に管理し、違反がないかチェックする
    ✅ 特別条項付き協定を締結する場合は、適正な理由を明記する
    ✅ 労働者の健康状態を定期的に確認し、過重労働を防ぐ
    ✅ 労働基準監督署からの指導が入る前に、必要な見直しを行う

    36協定の歴史と法改正のポイント

    36協定は、労働基準法の施行(1947年)とともに導入 された歴史ある制度じゃ。
    しかし、長時間労働による健康被害や過労死の問題が深刻化 したため、近年 大きな法改正 が行われた。

    2019年4月の改正|時間外労働の上限規制が強化

    2019年4月より、働き方改革関連法 により、時間外労働の上限規制 が厳格化された。
    特に、特別条項付き36協定の上限 に関して、以下のルールが追加されたのが大きなポイントである。

    改正後の時間外労働の上限(特別条項ありの場合)
  • 年間720時間以内
  • 月100時間未満(休日労働含む)
  • 2~6カ月平均で80時間以内
  • 月45時間を超えられるのは年6回まで
  • 違反すれば、労働基準監督署から是正勧告を受けるだけでなく、罰則の対象 となる。
    そのため、企業は適切に労働時間を管理し、過度な残業が発生しないよう対策を講じる必要 があるのじゃ。

    36協定を適切に運用するためのポイント

    36協定を締結しただけでは、不適切な長時間労働を防ぐことはできぬ。
    企業は、実際の労働環境を見直し、適切な運用を行うことが求められる。

    労務管理の見直しポイント

    勤怠管理システムを活用する
  • 労働時間を正確に把握し、時間外労働の発生をリアルタイムで管理 する。
  • 残業の発生理由を分析し、業務の効率化を図る ことが重要じゃ。
  • ノー残業デーやフレックスタイム制度の導入
  • 毎週決まった曜日に「ノー残業デー」を設定し、定時退社を推奨 する。
  • フレックスタイム制度を活用し、無駄な残業を削減 するのも有効じゃ。
  • 業務の見直しと適正な人員配置
  • 特定の社員に業務が集中していないか を確認し、適正な人員配置を行う。
  • 業務の優先順位を整理し、不必要な業務を削減する ことも大切じゃ。
  • 長時間労働が続く従業員への健康管理を強化
  • 月80時間を超える時間外労働が発生した場合、産業医による健康診断を義務付ける。
  • 過重労働による健康リスクを早期に把握し、必要な対応を取る ことが求められる。
  • 結論:企業も労働者も、36協定を「形だけ」にせず、実効性のある運用を!

    36協定は、ただ締結するだけでは意味がない。
    企業は、労働時間の実態を正確に把握し、長時間労働のリスクを最小限に抑える運用 を心掛けねばならぬ。

    また、労働者も、無理な長時間労働を強いられていないか を確認し、必要に応じて 労働基準監督署や労働組合に相談する ことが重要じゃ。

    36協定に関するよくある質問

    Q1: 36協定を締結しないと、残業は一切できないのか?

    A1:その通り!
    36協定を締結しておらぬ企業が、労働者に 1分でも残業を命じることは違法 となる。
    企業が時間外労働を必要とする場合は、必ず36協定を締結し、労働基準監督署へ届出をせねばならぬ。

    Q2: 36協定の届出をしないまま残業をさせた場合、罰則はあるのか?

    A2: 罰則あり!
    労働基準法違反となり、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金 が科される可能性がある。
    さらに、労働基準監督署から是正勧告を受け、企業名が公表される恐れもあるゆえ、注意が必要じゃ。

    Q3: 時間外労働の上限は何時間まで許されるのか?

    A3: 原則として、月45時間・年360時間まで。
    しかし、特別条項付きの36協定を締結すれば、一時的に上限を超えることも可能 じゃ。
    ただし、その場合でも 年間720時間・月100時間未満・2~6カ月平均80時間以内 という厳格な制限がある。

    Q4. 特別条項付きの36協定とは何か?

    A4. 通常の36協定では、月45時間・年360時間の時間外労働 が上限じゃ。
    しかし、「業務の繁忙期など特別な事情がある場合」、特別条項付きの36協定を締結することで、この上限を超えることが可能 となる。

    ただし!
    特別条項を適用するには、以下のルールを守らねばならぬ。

    年間の時間外労働は720時間以内
    2~6カ月の平均残業時間は80時間以内
    1カ月の時間外労働+休日労働は100時間未満
    労働者の健康を考慮し、適正な管理を行う

    これらの条件を満たさぬ場合、違反とみなされ、厳しい罰則が科される ゆえ、慎重に運用すべし。

    Q5. 36協定の届出は、電子申請でも可能か?

    A5. 可能!
    近年、労働基準監督署への届出は 「電子申請」 でも受け付けられるようになった。
    厚生労働省の公式サイトから 「労働基準法関係の電子申請」 を利用し、オンラインで手続きできるぞ。

    Q6. 36協定の有効期限はどれくらいか?更新は必要?

    A6. 原則として1年以内。
    36協定は 1年ごとに更新する必要がある。
    期限が切れる前に 新たな協定を締結し、再度届出を行わねばならぬ ぞ。

    Q7. 36協定を守っていても、長時間労働による健康被害が出た場合、企業の責任は?

    A7. 企業の責任は免れぬ!
    たとえ36協定を締結していても、長時間労働が原因で健康被害(過労死・うつ病など)が発生した場合、企業の責任は問われる。
    この場合、労災認定される可能性 もあり、企業は損害賠償請求を受けることもある。

    そのため、36協定を締結するだけでなく、適切な労務管理と従業員の健康管理を徹底することが重要 じゃ!

    まとめ:36協定を正しく理解し、適切な労務管理を

    36協定(さぶろく協定)は、企業が 法定労働時間を超えて労働者を働かせるために必要な労使協定 である。
    適正に締結し、労働基準監督署へ届出を行わねば、1分の残業でも違法となる ため、企業側は慎重に運用せねばならぬ。

    36協定の重要ポイントまとめ

    36協定がないと、時間外労働や休日労働は一切できない!
    時間外労働の上限は「月45時間・年360時間」(特別条項がある場合を除く)
    違反すると「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」などの厳しい罰則がある
    特別条項付きの36協定を締結すれば、一時的な上限超過は可能(ただし、年間720時間・月100時間未満など厳格な条件あり)
    有効期限は原則1年ごとに更新が必要!
    電子申請も可能になり、オンラインでの届出が便利に
    36協定を守っていても、長時間労働による健康被害が出れば企業の責任は免れない

    適切な労務管理が企業と労働者を守る

    36協定は、単に残業を合法化するためのものではなく、労働者の健康を守り、企業が適切な労務管理を行うためのルール である。
    もし、36協定を締結せずに長時間労働をさせれば、企業は法的責任を問われ、社会的信用を失うリスク もある。

    企業は、労働者の健康を守るため、36協定の正しい運用と、長時間労働を防ぐ取り組みを徹底せねばならぬ。
    一方で、労働者も、自らの労働環境を正しく理解し、無理な労働を強いられていないかチェックすることが重要 じゃ!

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